15年ほど前は、仕事に子育てに奮闘していた普通の女性。今では、料理教室やセミナーなど予約がとれない薬膳料理研究家として活躍する谷口ももよさん(52)。
大学卒業後は、広告代理店などに勤務し、多忙な日々だった。原因不明の体調不良に悩みながらも、夜更かしや深酒など不摂生の生活。「元気になりたいと思いつつも、自分の体に耳を傾けず身勝手な毎日を送っていた」という。
結婚・出産後、幼い子どもを守らなければならない母親という立場から、健康で丈夫な体になるために食生活を見直そうと、出合ったのが薬膳料理の考え方だった。
「当時はイライラすると、なぜかピーマンを食べていました。薬膳では、欲する味や食材は体の内臓などが発するサイン。五味と五臓は連動していると考えられ、弱っていた臓器が苦みを要求していたのです。体の声は意外とシンプル。腑(ふ)に落ちました」と話す。
「薬膳を難しく感じる方が多くいますが、身近な食材と生薬の効能を知り組み合わせの基本を学べば、どんな時に何を食べると良いのかは体が覚えていきます」
「秋から冬にかけては、乾燥から身を守る潤いのあるものや、辛みがきいた発汗作用のある食材を取り入れ体を温めるなど、季節に逆らわないことが大切です」
勉強好きが高じ、子育て中に、夢中で薬膳を学んだ。独立してから数年のうちに、薬膳の理論、実技の水準を鑑定する「国際薬膳調理師」を取得。この他、薬膳では最高資格といわれる「国際中医師」、味覚を養う「味育マイスター」など多種資格を所有。一方で、東洋美食薬膳協会代表理事も務め多岐にわたり活躍中だ。多数本も執筆し、レシピ本のアカデミー賞といわれる「グルマン世界料理本大賞」で過去に2度もグランプリ受賞を果たした。
体調不良や現状の生活を改善したいと、もんもんとした日々を過ごしていた谷口さん。ふとしたきっかけから薬膳に出合い、健康的な心と体にしたいと夢中で勉強し、なりたい自分を手に入れた。「探究心と地道な努力を重ねれば、必ず自分の夢をかなえられますよ」と胸を張る。 (新井すずみ)
◆ここがポイント
体の声は意外とシンプル 季節に逆らわない食材選び 効能考え生薬組み合わせる
谷口さんのオリジナルブランド。炊飯時にちょい足しする、煎(い)り黒豆やもち麦、塩昆布などを交ぜた「雑穀米めぐりブレンド SHIO−KONBU」=写真(上)。300グラム、1320円。血の巡りをよくするサンザシ、滋養強壮に良いとされるクコの実などが入った「薬膳美人茶」=同(右)。20グラム、1250円。オンラインショップ「momozen」で買える。料理教室などの問い合わせは(電)03・6768・6470。
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