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訪問型 無料の家事支援 料理作り、子どもに勉強も - 読売新聞オンライン

 「こんにちは。必要な食べ物を選んだら、ゆっくり話していってくださいね」。困窮家庭を支援する兵庫県西宮市の「こどもサポートステーション・たねとしずく」は月1回、同市の地域共生館ふれぼので、ひとり親を対象に食料を提供している。

 米、缶詰、乾燥麺などが並び、テーブルでは飲み物やお菓子を前に親子連れがスタッフと談笑する。コロナ禍に続く物価高で、毎回定員の30組はすぐに埋まる。

 団体は代表の大和陽子さん(49)が昨年7月に設立。女性支援の別団体に所属していたが、そこで取り組んでいたひとり親や困窮家庭の支援を重点的に行うために再出発した。食料提供だけでなく、訪問型の無料の家事支援にも力を入れる。運営費は寄付と助成金で賄っている。

 「仕事と家事育児を抱え、料理すらできない親もいる。日常空間に入って支えることで自立につなげたい」と大和さんは話す。利用者のほとんどが女性だという。

 訪問は1回2時間。10回を目安に家庭ごとに期限を設ける。スタッフは2人で訪れ、1人が家にある食材を使って料理をし、家事もする間、もう1人が子どもと遊んだり、学習を手伝ったりする。

気持ちに安心感

 支援を必要とする親の事情は様々だ。

 さつきさん(41)(仮名)の夫が失踪したのは、2019年だった。家事育児に専念し、金銭管理は夫がしていたため、たちまち困窮した。小学生の子ども2人にはそれぞれ病気と障害があり、すぐには働けない。1か月で11キロもやせ、心労で動けなくなった時に大和さんの前団体とつながった。

 4か月間、週1回利用し、作り置きしてもらったおかずを冷凍庫に保管して食べた。汚れた室内はきれいになり、子どもの勉強もみてもらった。「頼れる人がいるという安心感で気持ちが劇的に変わった」と振り返る。

 看護学校に通うちづるさん(36)(同)は2年前に支援を受けた。夫と離婚し、安定した生活のために資格の取得を考えたが、勉強や実習に追われて疲れ果てる毎日。料理をする気力がわかず、子ども2人にはレトルト食品ばかりを与えた。

 「栄養がある食事をさせたい」。作ってもらうだけではなく、時にはスタッフと台所に立ち、料理を教えてもらった。「1人では乗り切れなかった」といい、来春の卒業をめざして奮闘する。

3食とれない

 子ども食堂やフードバンクなど困窮家庭への食の支援が広がる一方、外に出てこられない家庭に手を差し伸べる「アウトリーチ型」の活動も必要とされている。

 NPO法人バディチーム(東京都新宿区)の取り組みは先進的だ。江戸川区や世田谷区などから受託し、原則18歳までの子どもがいる家庭に有償ボランティアが出向き、買い物から調理、片付けまで一緒に行う。こうした官民協働の支援はまだまだ少ない。

 食の貧困について研究する日本学術振興会特別研究員の上田遥さんは21年、東京、阪神、名古屋に住むシングルマザー53人に食生活について聞き取り調査を行った。

 回数や品数など、具体的な食事内容を調べる中で、週単位の食事別欠食率が朝食、昼食はともに44%、夕食は33%と高く、3食とれていないことがわかった。節約したり、不規則勤務を続けたりするうちにその状態に慣れ、おなかがすかなくなるという「食欲の貧困」に陥るケースもあり、「健康面で見過ごせない」と指摘する。

 心身の疲れや食欲低下は調理意欲にも影響し、嫌いな野菜を使わないなど、子どもの偏食につながるという。上田さんは「母子世帯の食を充実させるには、フードバンクなどによる量的な支援だけでなく、食育や家事援助といった質的な支援にも目を向けるべきだ」と話している。

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