●藩政期創業、2月閉店
金沢市片町2丁目にある江戸末期創業の料理店「北間楼」が来年2月、現在地での営業を終了する。治部煮やゴリ料理など伝統の加賀料理を振る舞ってきた老舗だが、次の代に店を引き継ぐには繁華街の中心という立地で税負担が重く、場所を移し規模を縮小して再出発することにした。室生犀星や芥川龍之介ら文豪も訪れた161年の歴史を誇る有名店が片町でののれんを下ろす。
●税負担重く
北間楼は片町スクランブル交差点から北西約90メートルの大通りから1本入った路地にある。敷地に植えられたヒイラギモクセイは樹齢200年以上と推定される金沢市指定保存樹だ。1862(文久2)年に「北間屋」として創業、1899(明治32)年10月の北國新聞付録「加越能三州料理屋番付」では大関に選ばれるなど有名店となった。
母屋に隣接する茶室「好日庵」は大正時代に神代杉で建築され、1924(大正13)年5月には、犀星が芥川を金沢に招いて同店で句会を開き、料理を味わった。
女将の北他紀子さん(80)は「うちの『じぶ』じゃなきゃ、治部煮を食べた気にならないと言ってくれるお客さんに支えられてきた」と振り返る。
文豪も愛用した料理店が閉店を決断した最大の理由は高額な相続税だという。北さんの夫で、5代目の公夫さんが2002年に亡くなった際の支払いは数億円に。北さんは「どれだけ売り上げがあっても、本当に苦しかった」とこぼす。
北さん自身も高齢となり、店で調理を担当する息子たちに「再び重い負担はかけられない」と土地を手放すことを決めた。
●フードピアが最後
来年2月3日、食の祭典「フードピア金沢」(北國新聞社特別協力)の恒例の食談イベントが最後の営業になる。犀星と芥川が訪れた大正期をイメージした加賀料理を用意する予定だ。
●移転先探し再出発
閉店後は来年3月をめどに建物を解体する計画。次の出店場所はまだ決まっていないが、北さんは新店でも加賀料理を出したいとし「お客さんや先代には申し訳ない気持ちになるが、いつかこういう時が来るとは思っていた。納得できる場所をじっくり探して、代々受け継いできた料理をまた味わってもらいたい」と前を向いた。
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