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食用油高騰にとんかつ料理店が苦悩…「1缶6000円が9000円に」メニュー価格改定も<くらし直撃~2022参院選> - 東京新聞

食用油の高騰が続くなか、とんかつ店は経営が圧迫されている(品川区で)

食用油の高騰が続くなか、とんかつ店は経営が圧迫されている(品川区で)

 食用油のたび重なる値上げは、コロナ禍からの回復がままならない飲食店を疲弊させている。今年で創業110年を迎える「割烹とんかつ ひろせ」(東京都品川区大井)の広瀬慶人店長(42)は「この1年で油の仕入れ価格は約1.5倍に上がった。年末には2倍近くになりそうだ」と嘆く。

 自慢のとんかつやエビフライをはじめ、店で使う油は全て植物性の「綿実油」。ビタミンEが豊富で、胃もたれしにくく、食べやすいと女性や高齢者に評判だ。食用油の中でも特に値が張るが「商品のブランド力を落とすわけにはいかない」と使い続けている。

 かつて一斗缶(18リットル)1個あたり6000円程度だった綿実油の仕入れ値は毎月のように上昇。取引先を切り替えたが、そこでも9000円台に届きそうだ。現在はさらに別の取引先に変え数百円安く提供してもらっているものの、さらなる値上げは避けられない。価格交渉の現場では「先方も仕入れ原価が上がって摩耗している」ことに胸が痛む。

 魚介類の高騰も激しい。中国など海外勢が高値で大量に魚を買い、日本向けに安く出荷されなくなったことなどによって、甘エビの仕入れ値は半年で2倍に。カニや銀ザケ、クルマエビなどは以前の1.5倍前後になった。仕入れ方法に知恵を絞るが、店では数千円の海鮮コース料理が人気なだけに影響は大きい。

 店のメニューの価格も近く改定する予定だ。単純な値上げではなく、料理の構成を変えたりして客の満足度を高め、収益に反映させることを目指す。一方、1000円前後のランチはできるだけ値段を維持して客の裾野を広げる考え。「地域の食事の一端を担ってきた」という老舗の自負で踏ん張っている。(妹尾聡太)

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