料理人がガチンコ勝負! シェフ版「M-1グランプリ」
「CHEF-1グランプリ」は、冒頭でお伝えしたとおり、若手料理人のナンバーワンを決める大会。「M-1グランプリ」のように参加資格があり、年齢40歳未満(1982年8月1日以降生まれ)であること。プロアマ料理のジャンルが問わないため、基本年齢制限のみ!
2021年は「ドラゴンシェフ」という名前で開催されていましたが、さらなる発展を目指し、2022年よりタイトルが「CHEF-1グランプリ」に進化! より、「M-1」の料理人版という印象が強くなったのではないでしょうか(ABCテレビさん制作ですし)。
全国で予選ラウンドが行われ、関東・甲信越エリアは2022年3月12日に実施。1都9県から集まったシェフの中から書類審査を通過したのは、20名の精鋭たち。
[東京代表]
・銀座のフランス料理店を渡り歩く:中澤えりさん(フレンチ)
・「ヒトサラベストシェフ100」に最年少で選出:白鳥翔大さん(ジャンルレス)
・ホテルの中国料理店で修業を重ねる:吉田稔さん(中華)
・美容料理人としても活動する実力派:玉水正人さん(フレンチ)
・『ガストロノミー ジョエル・ロブション』のスーシェフ:根本郁弥さん(フレンチ)
・世界を渡る流浪のシェフ:山﨑真人さん(
・『ガストロノミー ジョエル・ロブション』のシェフドパルティ:小島広夢さん(フレンチ)
・『ドラゴンシェフ2021』東京代表に輝く若手有望株:髙木祐輔さん(中華)
[神奈川代表]
・韓国料理の魅力を伝えるフリーランスの料理人:鄭大羽さん(韓国料理)
・『ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション』4代目シェフ:志田竜児さん(フレンチ)
[埼玉代表]
・家業の農作業を手伝う農民兼料理人:細田隆広さん(中華)
・地元・所沢の農家とも密接な地域密着型シェフ:平川聡美さん(イタリアン)
[千葉代表]
・フレンチの星付き店で修業を重ねてきた:林 修史さん(フレンチ)
[茨城代表]
・地元愛あふれる水戸京成ホテルシェフ:山里幸弥さん(中華)
[栃木代表]
・いちご農家を兼業する異色の料理人:吉澤大地さん(ジャンルレス)
[長野代表]
・本場イタリア仕込みの料理が光る:石川 大さん(イタリアン)
[群馬代表]
・『ドラゴンシェフ2021』から2年連続出場:中根浩之さん(フレンチ)
[山梨代表]
・狩猟免許を持つ「ゴ・エ・ミヨ」2トック獲得シェフ:豊島雅也さん(フレンチ)
[新潟代表]
・日本料理の名店で研鑽を重ねた腕利き:佐藤翔さん(和食)
・新潟市若手料理人コンテストグランプリ受賞:川又 真さん(イタリアン)
ご覧の通り、フレンチに中華、和食、韓国料理、フュージョンとジャンルはさまざま。その多彩さは、空手、キックボクシング、相撲、プロレス、柔術といった選手が集まった初期のUFCのようであります。
シェフは5名ずつのブロックに分かれて調理。審査員が実食の上、ポイント制にて合計ポイント上位7名が次のサバイバルラウンドに進出します。
今回、審査に挑むのは私のほか、予選会場「服部栄養専門学校」の理事長・校長である服部幸應さん、『ミシュランガイド東京 2022』で二つ星を獲得したフレンチレストラン『ナベノ-イズム』のエグゼクティブシェフCEO・渡辺雄一郎さん。
このおふたりと横並びというのがあまりに恐れ多く、最初は緊張しましたが、おと週編集ならではの庶民的な目線で審査しよう! と気持ちを切り替えればあら不思議。肩の力がスーッと抜けました。
決められたテーマに調理時間の制限が激戦を呼ぶ!
さて、この「CHEF-1グランプリ」。各ラウンドでテーマが設けられています。予選ラウンドでのお題は「地元の食材を使った あなただからこそできる料理」。
それをもとに考えた料理を、会場のキッチンで調理します。制限時間は45分。立場上、中には入れませんでしたが、撮影したカメラマンに聞くと、いかに手際よく料理を完成させるかということで、調理場はかなり白熱した様子だったそう。
後ほど、写真を拝見すると、煮る、焼く、蒸すといった基本的な技法だけでなく、まな板を抱えてひたすら鴨肉を叩くシェフがいれば、ミニボトルにコンソメスープを入れるシェフもいて、ここでも個性が炸裂。
事前に資料として料理名や使用食材などを拝見しましたが、それだけでは想像つかないものばかり。どんな料理が出てくるのかワクワクしつつ、審査会場へ向かいました。
そしていよいよ予選ラウンドがスタート。進行を務めるABCの桂紗綾アナウンサーから紹介を受けたシェフが、自分の料理についてプレゼン。みなさん、緊張を隠せません。それを感じて、僕もピリッとした気持ちになります。
ただ、どのシェフも話していくうちに緊張が解け、口調に熱を帯びていきます。農家さんから直接やりとりした食材を使用したシェフはその背景を披露したり、ある人は地元への思いを語ったり。その想いを受け取って食べさせていただくわけですから、こちらも情熱を持って評価・コメントをせねば、と口にしました。
今回審査するにあたっての基準は、「食べる人に感動を与える唯一無二のオリジナリティ」。創造性の高いビジュアルインパクト十分な料理がありましたが、だからといって美味しいとは限りません。
反対にパッと見シンプルでも実は中に具材が隠れていたり、味付け自体に独創性をもたせていた料理に感嘆することも。なんせこれまで食べたことがない料理のオンパレードで、その調理法や見せ方など、本当に勉強になりました。
審査をしていて印象に残った料理の数々
ここで今回いただいた中で印象深かった料理をいくつかご紹介します。
まずは、白鳥翔太さんの「どぜう春巻き」。
東京・浅草橋に店を構えていることから、ドジョウ料理をセレクト。ドジョウのふわっとした食感と衣のパリッとした食感のコントラストが小気味いい。若い人が気軽にドジョウを食べられるきっかけになるのでは!? そう感じさせた一品でした。
審査員からは、ドジョウ料理だから柳川のようにゴボウを入れるか、その代わりになる具材を入れるともっと美味しくなったのでは? という声が挙がっていました。
続いて、鄭大羽さんの「白いポッサムキムチ」。
白菜キムチをキムチと汁に分解。キムチは唐辛子を洗い流すことで、昔ながらの白いキムチにしています。さらに、汁は自身が生まれ育った埼玉県産のビーツをピューレにして合わせ、再構築。
見た目からして衝撃のお料理は、はさみでカットしていただくというこれまでにないキムチの食べ方。
中からマグロやホタテ、いちごなどが現れ、甘・辛・酸のバランスがお見事。見た目だけでなく、味もインパクトがありました。
そして、根本郁弥さんの「イカ人参」。
自身の出身地・福島県の郷土料理を新たな視点で作り上げた意欲作。もとは乾燥スルメイカと人参の千切りで作られるところを、生のイカにチェンジ。人参は福島県国見町産の長人参をピューレにして甘味と旨みを引き出しています。
見た目から美しく、サーブ時にふわっと醤油の香りが漂い、食欲をそそります。クリーミーな人参ソースに、イカの食感のマッチングが見事で、食べている途中から「また食べたい!」と思うほどドハマリしました。
今回審査させていただいて思ったことのひとつは、「M-1グランプリ」のように、登場の順番に左右されること。「最初なんで評価を高すぎないように」という「M-1」の審査員の方々の気持ちが少しわかりました。
また、調理時間から少し経っての提供になるシェフもいて「できたてだったらより美味しかっただろうな」と思うこともしばしば。それを考えると、提供タイミングに左右されない料理を考えるというのも戦略のひとつだったかもしれません。
審査を終えて……服部さん、渡辺さんが感じたこと
審査を終えて、一緒に審査員を務められたおふたりにお話を伺いました。
まずは、渡辺雄一郎さん。シェフとしての目線でお話くださいました。
「味の構築をキッチリやってきた人に高いポイントをつけました。いろんな味覚を持った人がいるので、美味しさのストライクゾーンに入らないとダメ。どういう人に食べてもらいたいかイメージがきっちりできていた人が残ってるんじゃないでしょうか。
自分だったら怖くてできない組み合わせがあり、こういうやり方もあるのかと勉強させていただきました」
続いて、服部幸應さん。僕が思っていたように、やはり順番に対して思うところがあったご様子でした。
「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。今回は順番の関係上、どうしても提供温度の差が出てしまうので、そこはフェアなジャッジになるよう心がけました。
料理は食べる人が一斉に「はぁ、美味しい」となるのが一番。そこを考えて作れているかどうか。あとは食材と調理法の組み合わせ。唯一無二のオリジナリティを出さなければいけないとはいえ、料理の根幹となる基本の部分は大事にしてほしい。そこが足りない人がいましたね」
ここからサバイバルラウンド、全国大会と戦いは続きます。この先、私は審査員でなく、イチ記者として最後まで見届けたいと思います。「おとなの週末Web」でもその様子をお届けする予定ですので、お楽しみに。
最後になりましたが、関東・甲信越エリア予選の模様は「TVer」で2022年6月11日正午から配信開始されます! サバイバルラウンドへ進む7名とは一体誰なのか!? まあ個人的には、見られるのが正直恥ずかしくはありますが、非常に熱い戦いになっております。ぜひご覧ください。
取材/編集部えびす 撮影/小島 昇
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