省時間化を図る「タイパ」志向の広がりで、暮らしの知恵はどんどん短く上書きされ、腕や気力を振るわなくても身の回りが整うようになった。とくに顕著なのが料理作り。がんばらなくてもおいしく作れるレシピが続々、人気を得ている。
99%やる気抜いて料理
料理本で昨年、もっとも売れたと評判なのが『やる気1%ごはん』(KADOKAWA)。発売から1年で18刷32・5万部。99%やる気を抜いても、おいしくできるレシピが500、そろっている。
例えば「鶏むね塩チャーシュー」。一般的な作り方だと、コンロでだいたい20分。だが『やる気1%』では、下味をつけて、加熱は電子レンジで6分だ。
レシピに略語も使う。電子レンジで加熱は「チン」、マヨネーズは「マヨ」。
「忙しい人はレシピを読むだけで疲れちゃいます。味と出来上がりが想像できれば、ある程度、説明は省こうという方針です」と同書の編集者、KADOKAWA生活実用第3編集課の松尾麻衣子さん。結果、本はシリーズ化し、今月3冊目が発売になる。簡略さが支持を得た。
息切れしないのが大事
「何で今まであんなにがんばっていたんだろう」「料理はストレスだったけれど、肩の荷が軽くなった」
鶏チャーシューや、調味と同時にゆでる「レンチン」パスタなどを作った人からは、こんな声が届く。
「料理は楽で、力が入らないほうが続く」と著者、まるみキッチン=本名・三浦健吾=さん(31)。「マラソンと同じで毎日がんばりすぎると息が持たないし、疲れるから」
レンチンは「自炊」
三浦さんが「やる気1%」でできる料理の研究にはまったのは、令和2年の終わり頃。コロナ太り解消にと始めた「サラダチキン」作りで、定番の「湯煎で50~60分待つ」のがおっくうになった。
調べて試して、電子レンジで片面3分「チン」する作り方にたどりつくと、調味料を変え、さらに違う肉にして…とレシピが広がった。カレーもクリーム煮も鍋で火加減しなくてもレンチンでいいか。
ともすれば批判されそうな手抜きは今や、重宝される知恵と化した。どこまで手をかければ自炊と呼べるのか。パナソニックハウジングソリューションズ(大阪)が昨年9月、「レンジでチンは自炊か」を男女400人に聞いたところ、20代は約半数、50代と60代はおよそ3人に1人が「自炊」と答えた。
TikTokで話題「炊飯器レシピ」
手をかけない料理は、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」でも人気だ。「炊飯器レシピ」が昨年、その年を象徴するTikTokトレンド大賞の候補に選ばれた。
発信源は、フォロワー約46万人を集める料理ユニット「炊飯器ブラザーズ」だ。視聴者の中心は、料理はそれほど得意じゃない、けれど栄養も気になるから自炊したいという人々。
運動会でおなじみの曲「天国と地獄」にのせた15秒の動画では、丸ごとのトマト、タマネギ、ひき肉、カレールーを炊飯器に入れ、スイッチをピッ。「炊きあがる」と、しゃもじで具材を切って混ぜ、包丁いらずでカレーができた。
「包丁を使えば、洗い物が増えますよね。なるべく手作業は減らしています」とブラザーズ「弟」の松本渉さん(26)。料理は最近始めたというが、「完全放置で、失敗しない」。
一方、普段は凝った料理も好きな「兄」、中筋大貴さん(31)は「簡単にできるのにおいしく仕上がって驚きました」と語る。
「コロナ禍が明けて人と世の中がせわしなく動き出した今、短時間で簡単にできる『超ずぼら飯』が求められている」。楽々と料理が出来上がるレシピは、頼もしい暮らしの味方だ。(津川綾子)
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