味や値段、居心地がちょうどいい近所の定食屋や町中華の店で、よく食べているメニュー。心の底から大好物ではあるものの、その店に通っている理由は「近くて落ち着くから」というのがいちばん大きいかもしれない。
そんな、地元の店の好きなメニューを、わざわざ遠方から来た友人に食べてもらったら、どんな気持ちになるだろう?
そこで今回は、酒の穴のふたり(ライターのパリッコとスズキナオ)がそれぞれに好きな地元のメニューをプレゼンしあってみることにした。ふたりとは共通の飲み友達であり、グルメや酒方面に強い、京都在住のライター、泡☆盛子さんをゲストに迎えて。
石神井公園「辰巳軒」の「カツカレー」
1軒目に訪れるのは、パリッコの地元、東京都練馬区の「石神井公園」駅近くにある、中華・洋食の老舗「辰巳軒」。
パリ:
僕の地元のお気に入りグルメは、創業から80年にもなる街いちばんの老舗「辰巳軒」の「カツカレー」なんですが。そもそも辰巳軒どうこう以前に、泡さんが京都からわざわざ石神井まで来てくれたことが、もうおもしろいです。
ナオ:
大人になってから友達になった人が地元にいる違和感、ありますよね。
パリ:
ね! で、店がここなんですけど。
泡:
こんな店、近所にあったらめっちゃいいっすね。
パリ:
そう、いいんですよ。ナオさんの好きなタンメンもあるし。
泡:
ほんとだ。どうする? 頼みますか?
パリ:
はは。あと、ここは揚げものが本当に絶品で。特にハムカツはおすすめです。
泡:
食べたいです!
パリ:
じゃあ、お店への礼儀として、なんとなくひとり1品くらいは頼みたいので、カツカレーと、揚げものを単品でいくつか、それから泡さんチョイスでもう1品、なにか頼みましょうか。
泡:
え~、ハムエッグ……目玉焼きのほうが珍しいかな? 目玉焼きにしてみます。
ナオ:
あとで私が紹介する「生駒軒」には、ここまでのメニューはないなぁ。ここ、すごく楽しい店ですね。
泡:
ね~、楽しい。ご家族でも来れそうだし。
ナオ:
セットの充実っぷりもすごい。居酒屋顔負けですね。
泡:
居酒屋でこれだけ頼もうと思ったら、2000円くらいはいっちゃいますよね。
ナオ:
ちなみにパリッコさん、今どういう気持ちなんですか? 地元の店がこんなに褒められて。
パリ:
いや、まだ料理も来てないからな。
ナオ:
ははは。いやでも、こっちはすでにジェラシーを感じはじめてますよ。「おれの生駒軒だってすごいのに!」って。
パリ:
謎の感情が。あとはじゃあ、瓶ビール頼みましょうか。みなさんそれ飲みます?
泡:
私、レモンサワーにしてみます。
パリ:
そうそう、ここはお酒を頼むと、この「小皿かっぱえびせん」がついてくるんですよ。
ナオ:
うわ、やられたわ~……。最高に好き。
泡:
わはは。えびせん1皿で。でもこれ、嬉しいですね。
パリ:
ではひとまず、乾杯ということで。
ナオ:
石神井公園って、かつては行楽地だったんですよね。そんな街に昔からあるお店だからか、私のうちのほうとは雰囲気がずいぶん違いますね。さっと食べて帰るというよりは、ほんのりと休憩所的な雰囲気もあるような。いや~、いいなぁ。
泡:
極楽ですね。
パリ:
はは。嬉しい。あ、カツカレー来ました!
泡:
う~ま~そ~!
ナオ:
こういう感じなんですね。
パリ:
カツが小さくカットしてあって、ごはんの上にそれがのって、まんべんなくカレーがかけてあるという。これが、どこを食べても毎口カツカレーでいいんですよ。まずは泡さん、ぜひ。
泡:
私からでいいんですか? ありがとうございます。いただきます。
泡:
昔ながらの、ちょっと黄色っぽいカレーですね。やばい。自然と顔がにやけてきます。人はカツカレーを前にすると、冷静ではいられないですね。
泡:
……すんごいとろみですね! ちょっと驚くくらい。味も濃厚で、美味しいですね~。
パリ:
そうそう。僕、もったりとしたカレーが大好きで、そういう意味でここ以上を知らないくらいの。また、甘さ、辛さ、酸味のバランスも絶妙だと思っていて。
泡:
うまいですね。唯一無二の味というか。そしてカツがサックサク! これ、みなさんも早く食べたほうがいいですよ。サクサクのうちに。
パリ:
はは。本気で嬉しいな。そして泡さん、心配はご無用です。カレーのもったり度とカツの絶妙な揚げ具合のおかげで、ここのカツカレー、食べ終わりまでずっとサクサクなんですよ。
ナオ:
もはやパーティーじゃないですか。
泡:
目玉焼きのはしっこのこんがりした感じ、最高。
パリ:
シンプル目玉焼きは初めて頼んだかも。いいですね、あえてプロに作ってもらう目玉焼き。
ナオ:
ハムカツはこれ、どうなってるんですか? ポテサラが入っている?
パリ:
そう! ハムでポテサラを包んで揚げてあるんです! どうですか!?
ナオ:
はは。自分の手柄のように。いやでも、これは参りました。
泡:
うわ、このハムカツ、美味し……。ポテサラのほんのりとした酸味で意外とさっぱりしてて。
ナオ:
うんうん、うまい。すごいぞ、これは。
パリ:
構成が似てるけど、コロッケともまた違うんですよね。自家製のポテサラがそもそもいい味で。そこに、衣のカリッと感と、ラードが香る感じとね。って、つい饒舌になってしまうな、地元だと。
泡:
はは。わかります。
パリ:
今まで何気なく通ってたけど、わざわざ遠くから来てもらってこんなに褒めてもらえると、なんだか誇らしい気持ちになってきちゃって。
ナオ:
パリッコさん、すっごくいいです! この店!
泡:
来られて良かった!
パリ:
嬉しい~……。
後日あらためて聞いた、泡さんの「辰巳軒」の感想
「洋食と中華どちらも主役なのがまず素晴らしく、ハンバーグステーキとニラレバ炒め、ハヤシライスとワンタン麺が混在する品書きを眺めるだけで小一時間は飲めそう。
60品くらいの中からカツカレーに照準を合わせたのはさすが攻めのパリッコさん。皿の淵からこぼれそうでこぼれないルゥは私史上最強のぽってり加減で実にコク深く、つまみにぴったりでした。
衣がざかざかっとしたカツにしっかりと絡んでくれるのが最高。カツがあらかじめカットされているのは酒飲みやお年寄り、小さな子へのお気遣いでしょうか。『全口カツカレーなんですよ』と誇らしげに言ったパリッコさんのちょいドヤ顔に地元愛を感じました。
目玉焼きの焼き加減も、ほかの揚げ物もしっかりと手をかけていらっしゃるのが伝わってきてとてもよかったです」
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