発売以来大反響の「落合式イタリアン」

今年2月に発売された落合務氏の『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』(落合務著 / ダイヤモンド社)が売れている。
落合氏とは、言わずと知れたイタリア料理界の巨匠、「日本一予約が取れないレストラン」と呼ばれる「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」のオーナーである。令和2年からは日本イタリア料理協会名誉会長にも就任されている。

出版元のダイヤモンド社で本の担当をした和田泰次郎氏からは次の言葉が。
「発売直後から反響が大きく、数日で重版が決まりました。
さらに3月中旬にTBS「THE TIME」に落合シェフが登場した回がヒットされたようで……。またすぐに3刷がかかり、現在3万3000部です」

読者からも
「テレビで見たパスタが普通の材料で簡単に美味しそうだったので、まず書店で中身をチェックした。継続して作れそうだったので購入しました。
からだによくて、早くかんたんにできて、何しろおいしい。本当にその通りでした。家族の評判も良かったです」(50代女性)
「落合シェフの料理が簡略化されているというのはどういうことなのかとても気になり購入。確かに簡単でおいしそうだったので、全卵で作れるカルボナーラを実際に作ってみたら、今まで作った中で一番おいしいカルボナーラになった」(60代男性)
などといった声が寄せられているという。

『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』(落合務著/ダイヤモンド社)

今回は、TBS「THE TIME」の第2弾として再び落合シェフが本の中のレシピを応用した料理を紹介するのに合わせ、再編集してお伝えする。

コロナ禍の闘病を経て自炊するように

「コロナでみんなが外出を控えていた時期、実は僕は闘病していました。
ラ・ベットラを次世代に引き渡して、これでちょっとラクできるかなと思っていた矢先、2021年にがんが見つかったんです。
3週間入院して、1年かけて抗がん剤治療をして、なんとか寛解という言葉をもらえました。
抗がん剤治療をすると食欲がなくなるんだけど、負けるもんかと一所懸命食べていたら太っちゃって」(『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』より)

「はじめに」で明かした、店は息子の剛(たけし)社長が引き継いだこと。がんを宣告され治療を受けていたこと。
どちらも初耳の方も多いかと思うが、抗がん剤治療を終えた落合シェフは、治療中に増えた体重を自炊によって落とした。
料理人人生60年において、自炊は初めての経験だったという。

毎日店の厨房で調理してきたシェフだが、約1年にわたる自炊生活を経て生みだした本書のレシピは、これまで紹介してきたものとは、根本から違う。

がんが寛解して、仕事に復帰した落合務シェフ。写真:『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』より

なぜなら、レストランがおいしさの追求や味の再現性を優先するとすれば、自炊はできるだけ家にあるものを無駄なく使い、あまり手間や時間をかけずに、それなりにおいしくできることが求められるからだ。

レストラン料理は食べる人が主役であり、自炊は作る人が主役である。
落合シェフのこれまでのレシピ本は、間違いなく前者の料理であった。
私たちは「予約の取れないレストラン」の味を再現したくて、本を購入した。
だが本書で紹介する料理は、「かんたん」で「作りやすく」、同時に店の味にも近いという、シェフに究極の選択を迫るものなのだ。

以下は、本書で紹介する料理の一例である。

アンチョビの代わりにみそで作ったバーニャカウダ

あさりの缶詰で作るボンゴレスパゲティ

生クリームもホワイトソースも使わないクリームグラタン

うにを入れないうにの味のパスタ

全卵のカルボナーラ