Jリーグは21日、3月決算の2クラブ(柏、湘南)を除くJ1とJ2、J3の58クラブの23年度経営状況を開示した。昨季J1復帰初年度だった新潟は4億6000万円の黒字。売上高はJ1で12位に相当する36億5900万円と、J2時代の22年度と比べて11億2000万円増加した。

ただ、トップチーム人件費はJ1で最も少ない8億8900万円。22年度から1億3300万円増えたものの、J1で10億円未満は新潟だけだった。5期連続で黒字となったが、主力の流出はやむなしか。

次節25日にホームで対戦する昨季7位の福岡のデータを見ると、売上高が28億7400万円と新潟よりも少なかった一方で、トップチーム人件費は新潟よりも倍近く多い16億1100万円だった。昨季の福岡はJ1に復帰した21年度からの投資が実り、ルヴァン杯を制したが、新潟は人件費が抑えられながらもJ1復帰1年目で10位と健闘。松橋監督の下、「費用対効果」は抜群だった。

今季は開幕直後にDF新井直人がJ1広島へ移籍し、けが人も続出。降格圏に勝ち点2差の15位と厳しい戦いが続く。それでも、下部組織出身の18歳MF石山青空が22日のルヴァン杯秋田戦でプロ初ゴールを挙げ、大卒新人のMF奥村仁も一気に台頭した。

かつてはブラジル人選手の発掘が際立ったが、近年はアカデミーが充実し、スカウトした新人も即戦力として活躍するようになった。さらなる高みを目指して旅立つ選手も多い中、新潟がJ1で戦い続けるためには育成と新人発掘の両輪が欠かせない。【石川秀和】