4月からの新生活でひとり暮らしを始めるという人も多いだろう。昨年の2月に発売し、”令和の自炊バイブル”として版を重ねる単行本「1週間1500円で毎日おいしい! てんきち母ちゃんの はじめての自炊練習帖」著者で料理研究家の井上かなえさんに、本書の読みどころや自炊を続けるコツを3回にわたって聞いた。(構成・聞き手 ダイヤモンド社 井上敬子)
ひとり暮らしで、1袋10本入りの激安きゅうりを買うのはOK?
――もともと、本書を作ろうと思われたたきっかけは?
当時、大学生だった娘が、ひとり暮らしの友達の家で料理したら、家で料理するのとは全く勝手が違って困ったと聞いて。私が料理の仕事をしていることもあって、うちには調味料や食材もいろいろ揃ってる。でも、ひとり暮らしのうちで、買い物をイチからして、限られた調味料で料理を作るのはまた別ですよね。
――食材の「買い物」って、意外に初心者にはハードルが高いですよね。
そうなんですよ。その時にも「安いから、きゅうり10本買ってもいいかな?」みたいなLINEが来て驚いたんです。ひとり暮らしで、いたみかけのきゅうりを10本買ったら、食べきれなくて腐らせてしまいますよね。ただでさえ、きゅうりはあまり日持ちしませんから。でも、自炊したことがなければ、それを知らないのは当然ですよね。
――その時には、もう娘さん自身もひとり暮らしすることが決まっていた?
就職で家を出ていくことは決まっていました。とはいえ娘も就職活動で忙しく、なかなか教える時間も取れないので、せっかくだから、娘や、娘と同じような自炊初心者さん、その親御さんに向けて、買い物の仕方や食材の使い回し方から簡単でおいしいレシピまでを懇切丁寧に説明した一冊を作ろうと思ってできたのが本書です。
初心者がもっとも使いやすい肉は「豚こま肉」
――だから、レシピ以前の「自炊を始める準備」の部分にかなりページが割かれているんですね。実際にひとり暮らしの娘さんや読者が本書を使ってみて、どうだったんでしょう。
本書では、いろんな料理に使い回しがきいて、しかも安い「万能食材」を、しぼりこんでおすすめしています。たとえば、四大万能肉は「豚こま」「ひき肉」「鶏むね」「鶏もも」です。
自炊初心者さんには、この中でも、特に「豚こま」や「ひき肉」が包丁で切らなくてもすぐ使えるので、便利だったようですね。少し慣れてくると、鶏肉などの大きな肉も買って切り分けて使えるようになってきます。
「冷凍ごはん」さえあれば、どんなにクタクタでも自炊できる
――本書では、食材やごはんを小分けにして冷凍することもおすすめされていますね。
「豚こま」などは一食に使う分量(約100gずつ)にしてラップし冷凍しておくと便利ですね。ごはんも一度に2合程度炊いたら、ラップに包んで一食分ずつ冷凍しておく。
実際に、娘も、今は仕事で夜の9時半過ぎることも多いようですが「どんなにクタクタな時でも、すぐにチンして食べられる冷凍ごはんとフリーズドライの味噌汁だけでもあれば、家で食べようと思える」と言っていました。
週末には、本書でも紹介しているような、ちょっとした作り置きを何種類か作っておいて、遅く帰ってもすぐに食べられるようにしています。さらにお弁当まで作っているようですよ。
――素晴らしい成長ぶりでいらっしゃいますね。きゅうりを買いすぎることもなくなりましたか(笑)。
はい(笑)。本書では、「使いやすい野菜」や「日持ちしないけど生ですぐ食べられる野菜」、「コスパのよい野菜」など分けて紹介していますからね。「使いやすい野菜ベスト4」の「キャベツ」「じゃがいも」「にんじん」「たまねぎ」などは、常備して活用しているようです。
最近、近所に安いスーパーを見つけたようで、そこで上手に買い物ができるとテンションがあがるみたい(笑)。冷凍しているお肉やごはんも、最初は「あれ、もうない!」となることもあったけど、慣れてくると予測ができるようになり在庫管理もうまくなってきたようですね。
*本記事は、「1週間1500円で毎日おいしい! てんきち母ちゃんの はじめての自炊 練習帖」の著者に、本書の読みどころと自炊のコツをお聞きしたインタビューです。
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