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安藤俊介さん(アンガーマネジメントコンサルタント) 留学先での民族料理は食べ慣れた味が一番 - 日本農業新聞

 大学を卒業した後、1994年にカナダに留学しました。それが、ほぼ初めての海外経験なんですね。大学4年生の時にグアムに行ったことがありましたけど、その時はいわゆるファミリーレストランにあるようなものばかり食べたので、グアムならではの食を味わうことはありませんでした。

 僕が留学したモントリオールは、多くの人種が住む街。そのため民族料理のお店がいっぱいあるんですよ。

 それまで僕は、基本的に変わった物は食べたことがなかったんですよね。今では当たり前に食べられるようになったタイ料理とかベトナム料理のような民族料理は、当時の日本にはまだありませんでしたし。

 モントリオールでいろんな人種の人と知り合う中で、初めて独特の民族料理を食べる経験をしました。

 例えば中華料理。中国からの留学生に連れて行ってもらったチャイナタウンで出てくる料理は、日本の町中華とは違うんですよ。僕がそれまで食べていたのは、しょうゆラーメンとチャーハンとギョーザ、野菜炒めくらい。それとは全く違う本格的な中華料理を食べて驚きました。

 最初のうちは、中華料理もタイ料理もベトナム料理もギリシャ料理も、おいしいと思えなかった。慣れるに従っておいしいと思えるようになっていったんですが、最初の頃はそれまで自分が食べていた物と違うというだけで、なんかおいしくなかったんです。

 留学生たちは、自分の国の料理を出す店に友達を連れて行くんですよね。僕も仲間を連れて日本料理店に行き、「すき焼きってこういうものなんだよ」と説明しました。食事というのはコミュニケーションの場なので、みんな一生懸命説明するわけですよね。

 そんな時、お世辞でもいいから「おいしい」と言われたらうれしいわけですよ。自国の食事を、まずいとか口に合わないと言われたら、なんとなくムッとした感じになる。

 留学生活も2年くらいたつ頃には全部おいしく感じるようになるんですけど、最初はとにかく、食べ慣れない物を一緒に食べるのが苦痛でした。

 そんな生活を送る中で僕にとって一番衝撃的だったのは、ベーグルですかね。ユダヤ人の友達に「おいしいベーグル屋があるから」と連れて行ってもらったんです。

 それまでベーグルなんて見たこともない。ドーナツだと思って食べてみたら、甘くない。硬くて、でも中はモチモチしている。これはなんだと聞いたら、パンだと言われましたけど、僕の当時の感覚でいうと、決してパンじゃないんですよ。

 しかもクリームチーズとスモークサーモンを挟んで食べるというんです。この二つとも食べたことがなかったですし。

 それまで食べてきたサンドイッチといえば、卵サンドとハム・チーズサンド。ツナサンドも食べたことはあるけど、パンにサーモンを挟んで食べるってなんだろう?

 日本で塩サケは食べてましたけれど、サケをパンに挟むなんて……。いったいどういう組み合わせなのか分からずに困惑しました。

 一方で、彼らが連れて行ってくれたシュワルツという店のスモークミートサンドイッチは、初めて食べた時からめちゃくちゃおいしく感じました。こちらは食パンにスモークした牛肉とマスタードを挟んで食べるものです。

 同じユダヤ人の好物でも、僕にとって食べ慣れた食材であるか否かで、受け止め方が全然違ったわけです。僕は食について保守的なんですね。

(聞き手・菊地武顕)

 あんどう・しゅんすけ 1971年、群馬県生まれ。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の第一人者。外資系企業、民間シンクタンクなどを経てニューヨークに渡り手法を取得。教育現場や企業などで講演、研修などを行う。日本アンガーマネジメント協会代表理事、新潟産業大学客員教授を務める。近著「タイプ別 怒れない私のためのきちんと怒る練習帳」(CCCメディアハウス)など著書多数。

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