毎日の献立で味が決まらないと悩んだり、マンネリが気になったりしていませんか? 朝日新聞の「料理メモ」を25年以上担当している料理研究家の渡辺あきこさんを招き、座談会を開きました。連載に込める思いや調味料の黄金比、レパートリーを増やすヒントなど、参加したReライフ読者会議のメンバーからもリクエストがあった、すぐ実践できる方法を聞きました。
(竹石涼子)
◆「料理メモ」
朝日新聞朝刊や朝日新聞デジタルに掲載している連載です。石黒弥生さん、検見﨑聡美さん、牧野直子さん、渡辺あきこさんの4人の料理研究家が交代で担当しています。レシピは、朝日新聞デジタルで食材名や調理時間、1人前カロリーなどで検索できます。
スーパーや新聞で旬の情報探しを
渡辺さんが「料理メモ」で一番大事にしているのは、「作ってみたいな」「これなら、自分でも作れそう」と思ってもらえることだ。
ものによっては何度も試作を繰り返す。心理的なハードルを下げるためにシンプルな手順にしていく。旬や季節感を大事にして、食材は近所のスーパーで手頃な値段で買えるものを選んでいる。
スーパーは、レシピのヒント探しの場でもある。売れ筋商品を見ながら、どんなレシピが求められているかを考える。
旅先でも、「名所旧跡より、スーパーや市場」。地元の人に連れていってもらい、その土地の食材について、使い方を教えてもらう。現地の調理法を知る中で、自分の思い込みに気づいたこともあった。たとえば、料理学校では里芋のぬめりは下ゆでして取るものとされていたが、東北地方では、ぬめりも味わう。
渡辺さんの母は喫茶店、祖母は乾物屋を営んでいて、小さな頃から築地市場に母とよく買い出しに来ていた。市場は、その時々を映す鏡という。どんな魚が出ているのか、手頃な値段でおいしそうなのか、が感じられる場所だ。
ニュースも参考に献立を考えるという。新聞もスクラップ。旬のはずのサンマが不漁と知ったら、豊漁のブリを使う。高くなった卵を使うのは控えめに。こうして、生活実感のある料理メモのレシピが生まれている。企画から発行までに数カ月かかることもある雑誌と比べ、時節をタイムリーに取り入れられる新聞ならではの良さだという。
参加した読者の一人、年見雅代さんは「料理メモでおいしかったレシピはパソコンに保存していて、親戚の結婚祝いにレシピブックを作ってプレゼントしたほど。特に渡辺先生のレシピは味がピタッと決まって好きなので、お話を聞けて夢のような時間でした」と話した。
Q 自分の味って?
A まずはレシピ通り そこから調整
まずは、調味料の分量をレシピ通りに量って作ってみること。
目分量で作っていると、作るたびに味が変わってしまい、調整が難しい。食べてみて甘みが強いと感じたら砂糖を、しょっぱいと思ったらしょうゆを、次回は減らしてみる。味の感想や調整した分量は「料理メモ」などレシピの余白に書きとめておけば、自分好みの味、自分のレシピが出来ていく。
「そうして出来たレシピは宝。ぜひ自分の味、家庭の味をレシピにして伝えていってください」と渡辺さん。レシピに残しておけば、もし自分で料理が作れなくなってもなじんだ味を誰かに作ってもらうことができる。
渡辺さんの「基本の味」も教えてもらった。
チキン南蛮や油淋鶏などに使う甘酢だれは、しょうゆ、酢、砂糖を2:2:1。肉じゃがや煮魚など甘めの煮物なら、しょうゆ、みりん、砂糖が2:2:1。砂糖をやめ、同量のしょうゆとみりんだけで作るとさっぱりした味になる。
しょうゆ味の炊き込みご飯は米1合にしょうゆ大さじ1。豆ご飯やサツマイモご飯、栗ご飯などは塩で味をつけると素材の色を生かせる。その場合、米1合に小さじ1/3を基本にしている。
Q おすすめの常備菜は?
A 七変化するピクルス
常備菜におすすめなのはピクルス。酢、砂糖、塩を混ぜ、好きな野菜をさっと湯通しして漬けるだけ。そのまま食べるのはもちろん、刻んでポテトサラダにも使える。野菜から水分が出るので、次に漬けるときは液は新しくするのがコツだという。
ゴーヤの酢じょうゆ漬けも渡辺さん思い出のメニュー。ベトナム在住の日本人に教わった。やみつきになる味だそうだ。
つくだ煮やしょうゆ煮もいい。ショウガやキノコなどの食材も手軽でおいしい。飽きないよう、冷蔵保存しながら3、4日で食べきるくらいの量がちょうど良いので、塩分を濃くする必要はないという。
余った野菜は冷凍すると無駄にならない。ショウガやニンニクなどの香味野菜のほか、タマネギ、トマト、パプリカなどは凍ったままスープにも入れられる。少し残ったアサリやベーコンも冷凍しておけばちょい足しに重宝する。
Q 減塩レシピのコツは?
A トマトのうまみ活用
血圧が気になる人にうれしい減塩レシピは、主菜は味を利かせて、ほかを薄味にするのも一案。おひたしに、しょうゆではなく、だし汁をかけたり、昆布やキノコを使ったりすると塩分を減らせる。意外なうまみ食材がトマト。良いだしがでるので、マーボー豆腐に入れると減塩でもおいしくできるという。
年を重ねるにつれ、さっぱりしたものを好むようになりがち。でも、時にはお肉やこってりしたものも食べたくなる。そんな時は豆皿や小さめの皿に少量を盛ると、見た目もおなかも満足させられる。
◆カブとパプリカのピクルス(写真・渡辺和俊)
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【主な材料・1人前】 カブ2個(180g)、パプリカ1個、酢1/2カップ
【作り方】 耐熱容器に熱湯1/4カップ、砂糖大さじ2、塩小さじ1/2を入れます。砂糖と塩が溶けるまで混ぜ、酢を加えて漬け汁を作ります。
カブは皮をむき、縦に8等分して、くし形にします。パプリカはへたと種をとり、2cm角に切ります。鍋に湯を煮立て、カブを10秒ゆでたら、ざるにあげて冷まします。続けてパプリカも10秒ゆで、同様に冷まします。
水気が切れて冷めたら漬け汁に入れます。皿などで重しをして野菜を沈めます。1時間ほどで食べられます。
酢を使うので、陶器やガラスの容器を使います。瓶がなくても平たい容器や丼で作れます。冷蔵保存で1週間ほどはもちます。1人が4回ほどで食べきれる量です。野菜はサッと湯通しすると食べやすく日持ちも良くなります。残り野菜でアレンジして楽しんでください。
(漬ける時間を入れずに約15分)1人前約160kcal、塩分3.0g
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